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音楽で集客へ――苦戦するMySpace日本版

2007-05-25-Fri 20:11:59 │EDIT
MySpaceは世界最大のSNSだが、国内版の存在感は薄い。音楽や映画関連コンテンツなどをテコにユーザーを拡大し、「国内最大」を目指して巻き返しを図る。

 世界最大のSNS・MySpace日本版「マイスペースジャパン」のオープンから約半年が過ぎた。当初は「国内最大のSNSになる」との目標を掲げていたが、現在その存在感は薄い。mixiのナンバーワンが揺るがない国内SNS界で、攻めあぐねているようにも見える。


 国内版を運営するのはソフトバンクグループのマイスペース。MySpaceを保有する米News Corp.グループとソフトバンクが折半出資して設立した。今後、サイトに登録したアーティストの活動を支援したり、映画・アニメ関連コンテンツを拡充するなどしてサイトの魅力を高め、ユーザーを拡大していく方針だ。同社の安藤直子事業部長は「日本一のSNSになるという目標は変わっていない」と巻き返しに力を込める。


「マイスペースジャパン」トップページ。ユーザーは男性の方がやや多く、男性が54%、女性が46%。年齢別では20代が47%と半数近くを占め、地域別では関東が56%と半数を超えている MySpaceは日本を含めて世界15カ国、8言語でサービス提供中。発祥の地・米国を中心にワールドワイドの存在感は圧倒的で、登録会員数は世界合計で1億7900万、米国版の1カ月あたりのページビュー(PV、3月時点)は430億という(関連記事参照)。

 だが遅れて参入する形になった国内での存在感は薄い。会員限定のクローズドサービスであるmixiと異なり、非会員でもコンテンツへのアクセスは可能なオープンサービスの形を取っている。会員数は非公開だが、サイトへのアクセス者数を示す月間ユニークユーザー数は99万9000。月間PVは5900万とmixi(3月時点で約69億)の100分の1以下だ。

 厳しい状況の国内版だが、音楽アーティストのユーザー登録を促したり、映画のプロモーション映像などコンテンツをそろえることで集客し、ユーザーを拡大していく方針だ。国内独自で開発した携帯電話版もこのほど公開。「米国っぽいと言われがち」(安藤事業部長)なPC版のユーザーインタフェースを“日本的”に使いやすく変えるリニューアルも6月に行い、巻き返しを図る。

アーティストは2万組登録
 MySpaceは音楽・動画配信ができるため、米国ではアーティストにも広く使われている。ワールドワイドで400万組が「アーティスト」として登録しており、国内でも小室哲哉さんなどのメジャーアーティストからインディーズまで、2万組が登録済みだ(関連記事参照)。

 「インディーズアーティストにとってマイスペースは、無料で音楽や動画を宣伝できる便利なプロモーションの場」(同社の萩本良秀マーケティング部長)といい、実際にプロモーションに役立った例もある。代表例が女性シンガーソングライターの「たむらぱん」だ。
たむらぱんは、一般ユーザーに、リンクしてほしいと伝える「フレンドリクエスト」を積極的に実施。フレンドとなったユーザーのブログにコメントするなど地道な活動を続け、1万以上のフレンドを獲得した。その後ネット限定で販売したCDは、予約だけで1000枚売り上げたという。

 マイスペースは、音楽関連のイベントを主催・協賛するなどし、リアルイベントとネット上の交流とを連携させようとしている。「オフラインでつながったユーザー同士が、オンラインでも交流する、という動きが出ている。今後もオフライン活動を積極的に支援・実施していきたい」(萩本部長)

 映画関連のコンテンツも拡充する。20世紀フォックス映画と共同で、今夏公開される映画「ダイ・ハード4.0」のテレビCM用イメージソングの募集も開始。映画「パッチギ」のプロモーション映像が見られるページも開設した。

 今後は、アニメなど他分野のコンテンツも積極的に集めていきたいという。著作権侵害対策に特に力を入れているといい、コンテンツホルダーが安心して配信できるサービスを目指す。

公式サイト化、打診はしているが……

安藤事業部長 ビジネスは広告モデルを中心に展開する。現状は、サイト内のバナーの一部に、広告ネットワーク「impAct」の広告を入れているのみ。まずはユーザー数を拡大し、媒体として認知してもらうことが先決となりそうだ。

 携帯電話向けサービスの開始とともに、各キャリアの公式サイト化も目指して協議中だが「なかなか難しい」(安藤事業部長)のが正直な感想という。携帯をテコにした集客はまだ難しそうだが、まずは音楽・映画コンテンツを中心に集客していく方針だ。


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