高良仁美
沖縄出身のピアニスト高良仁美が11日、東京・初台の東京オペラシティリサイタルホールで、同郷の作曲家金井喜久子(1906~86)の曲をメーンにしたリサイタルを開く。東京での本格的なソロ公演はこれが初めて。「沖縄の人間だからこその世界を、存分に表現したい」と語る。
高良仁美
金井は、日本の女性として初めて交響曲を書いた作曲家。米映画「八月十五夜の茶屋」の音楽を担当したことなどでも知られる。東京音楽学校(現・東京芸大)で培ったクラシックの作曲技術を駆使し、交響詩曲「宇留間の詩」やピアノ曲「琉球カチャーシー」など、沖縄音楽の粋を集めた曲を数多く残した。
そんな金井のピアノ曲のCDを、レコード会社の依頼で昨年出した。沖縄の陽気なリズムを開けっぴろげに使った作風がクラシックとあまりに違いすぎ、最初は戸惑った。しかし、がっぷり向き合ってみて、「ことさら芸術などと偉ぶらない自然体の音楽の魅力に気づいた。沖縄で生まれ育った自分だからこそ表現できると今は思える」。
現在は、ベートーベンもじっくり弾きこんでいる。「古典の構造をしっかり理解してこそ、自由に音楽の世界に遊べると思うから」
沖縄の小村、備瀬(びせ)でのびのびと育った。並木林を抜けると、青い海が一気にひらける。その風景が、表現者としての自らの原点となっている、と感じる。
スペインのファリャやブラジルのビラロボスも演奏する。「自分にぴったりくる曲を選んだらこうなった。沖縄気質というより、ラテン気質なのかも」
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