パソコン内の音楽ファイルを携帯電話に転送するサービスが、著作権法に違反するか判断を求めた民事訴訟で、東京地方裁判所は25日、著作権侵害にあたるとの判断を示した。
今回の裁判は、携帯電話向け音楽ファイル転送サービス「MYUTA」を展開するイメージシティが、日本音楽著作権協会(JASRAC)から複製権や公衆送信権といった著作権を侵害するとし、許諾を受けた上での利用を求められたことから、イメージシティでは同サービスが著作権上問題なく、差止請求権がおよばないことの確認を求め、2006年に提訴していたもの。
東京地裁の高部眞規子裁判長は、著作権侵害があり、JASRACが差止請求権を有するとして原告の主張を認めず、訴えを棄却した。
今回問題となった「MYUTA」は、ユーザーのパソコン上で原告が提供するソフトウェアを利用し、音声ファイルを携帯電話向けに変換、原告のサーバへ保存することにより、ユーザーはサーバ上から携帯電話へダウンロードできるサービス。
同サービスでは、会員ユーザーのパソコン認証を行い、携帯電話を特定するため、アップロードするユーザーとダウンロードするユーザーが同一になるのが特徴で、「著作権法上で認められている私的複製」によるサービスとして、イメージシティの前進であるコンピュータシティが2005年に提供を開始。今回の裁判にあたり2006年にサービスを停止している。
今回の裁判では、サーバ上で複製される際の行為主体が、原告であるかユーザーであるか、また音楽ファイルの提供の主体や自動公衆送信にあたるか、という点で争われた。
判決によると、同システムでは、ユーザーが利用するか、しないかといった権限しか与えられておらず、ファイルのエンコードや転送するソフトウェア、システムが原告により設計管理され、複製が同システムの管理下で行われていることから、行為の主体が原告側にあると認定した。
その上で、原告が主体となり不特定多数のユーザーに対してファイルが送信しているとして、「自動公衆送信」であり著作権を侵害すると認めた。アップロードするユーザーとダウンロードするユーザーが同一であり、外付けハードディスクと同様であるとの原告が行った主張については、原告管理下の複製で、原告の側から見た一面に過ぎないとして退けた。
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