音楽を通して福岡の若者たちの国際交流のすそ野を広げようと、福岡市の音響会社社長谷村与志雄さん(56)が、ミュージシャンの海外派遣や招致の窓口となる特定非営利活動法人(NPO法人)の設立準備を進めている。若者文化を題材に国際交流に取り組むNPOは全国でも珍しいといい、谷村さんは「アジアと連携し、福岡を東京に負けない音楽発信基地にしたい」と夢を描いている。

 NPO法人名は、アジアとともに歩む未来の福岡への思いを託した「asue」(Asian Stands Up Entertainment、明日へ)。谷村さんの考えに賛同した福岡市在住の芸能プロダクションやイベント関係者らがメンバーとなる。近く県に認証を申請し、今夏の設立を目指している。

 福岡市で活動した元バンドマンの谷村さんは一昨年2月に「アジアに近い福岡ならではの音楽文化を築きたい」と、最も近い外国で音楽活動が盛んな韓国・釜山市を訪問。現地の音楽関係者と意気投合し、福岡のミュージシャンを釜山のライブハウスやイベントに出演させたり、釜山のバンドを福岡のイベントに招いたりと奔走。韓国以外にタイや中国とも交流を進め、これまで派遣・招致したミュージシャンは延べ約400人に上る。

 「日本のバンドは演奏技術が高く、韓国の客は乗りがいい。友達ができたり、文化の違いを知ったりもでき、お互いにいい刺激を受けている」と谷村さん。CD販売などビジネス交流が始まる成果も生まれている。

 ただ、谷村さんは仕事の傍ら、ボランティアとして活動している上、ミュージシャンの渡航費が自己負担になっている点が悩みの種。「交流の幅を広げ、長続きさせるためにはしっかりした組織をつくる必要がある」とNPO法人設立を思い立った。法人化で企業や行政の助成を受けやすくなる利点もあるという。

 谷村さんは「海外でのライブを希望するミュージシャンは多い。若者に活動の機会を与えたい」と、さらなる交流の深まりに期待している。 


月島きらりのハッピーな新曲は、アイドルらしいアイドルの“洋楽っぽい”楽曲!
アイドルの中でも、最もアイドルらしいアイドルといえば誰か? といえば、今なら真っ先に月島きらりの名前を挙げる。その愛くるしいルックス、イメージ、身のこなし、楽曲などなど… “アイドルの似非アーティスト化” が進む今の音楽シーンにおいて、彼女は実に貴重かつ重要なアイコンである。

というわけで、BARKSでは今月2日にリリースされた月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)の新曲「ハッピー☆彡」のPV映像試聴音源、さらにカップリング曲「恋の魔法はハビビのビ!」の試聴音源を用意した。すでにCDが手元にある人はその音源を、まだ聴いたことがないという人は、これらPVなどを見聴きながら、ぜひ本稿を読み進めてほしい。

月島きらりのことを知らない人のために、簡単に彼女について触れよう。月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)とは、モーニング娘。の久住小春のソロ活動名義。月島きらりとは、彼女自身が声優を務めているテレビ東京系アニメ『きらりん☆レボリューション』の主人公の名前だ。こう書くと、“月島きらり=久住小春、ゆえに久住小春=最もアイドルっぽいアイドル” ととらえる方もいるかもしれない。が、そうではない。アイドル・久住小春の中にあるアイドル的な要素を凝縮したのが月島きらりであり、別の言い方をすれば、アイドル・久住小春が演じているアイドルの月島きらりこそが、ここで言う “アイドルの中のアイドル” だ。

さて、そんな彼女の最新シングル曲「ハッピー☆彡」。こちらも月島きらりの魅力がキラリと光る楽曲に仕上がっている。が、BARKSでは、あえてタイトル曲ではなく、カップリング曲をまず紹介したいと思う。


カップリング曲のタイトルは「恋の魔法はハビビのビ!」。軽快なラテン系+4つ打ちダンスサウンドの楽曲で、歌詞は “ダーリンにビビビ!ときた出会いからドキドキでラヴラヴでミラクルリンのリン” という内容。

…意味不明である。タイトルもそうだが、歌詞自体も字面を追っていくだけではハチャメチャという表現があまりに似合いすぎる。いや、あえて言及するならば、意味不明になるくらいにのぼせ上がっている状態を歌った曲、といえるだろう。ちなみに久住小春もこの楽曲を初めて聴いた際には、

「目が点になりました(・・) ハビビのビって何!? って思った…。」

とコメントした。


さて、すでに試聴していただいたと思うが、この曲、実に興味深い曲であることに気づいただろうか?

歌というものは、音符通りに歌えばいいかというと、それはNoである。音符通りに歌えることは前提として、まるで服を自分のスタイルにフィットさせるかのように、柔軟に譜割りやピッチ、ブレス位置などを崩していく必要がある。そう味付けすることで、言葉とヴォーカリストの間に血が通い始め、音の間にヴォーカリストの情感が埋め込まれる。

今回の作品において月島きらりは、まさにこれの最たるものといえる。特にAメロとサビは味付けが若干濃い目。試聴箇所で例を挙げるならば、

<早く早く お願い! アイしてコイしてスキして…なんちゃって ダーリン>

のところなどは、歌っているというよりも語っているに近い。というよりも、むしろ “お願いしている” と言っていい。気づかなかった人は、何度も注意深く聴いてみてほしい。

このように同曲では、きらりは柔軟に、そしてやや大げさな歌い方で歌詞を表現している。ということはどういうことか。そう “たとえ歌詞を知らなくても(理解できなくても)、聴いただけでその意味、曲全体の意味が伝わってしまう” のだ。

突然だが、先頃来日し、日本中に旋風を引き起こしたアヴリル・ラヴィーンの「ガールフレンド」という曲をここで聴いてみたい(もちろんBARKSには同曲のPVが用意されている)。この曲、キャッチーなパンクサウンドに乗って、アヴリルの<I want to be your gielfriend>という気持ちがバンバンぶつかってくる。たとえ英詞は聴き取れなくても、言わんとしている雰囲気はわかるはずだ。

もうお気づきだろう。同じなのだ。英語と日本語(日本語というか、音)という違いはあれど、これら両楽曲には、同じ現象が起きている。つまり、月島きらりの「恋の魔法はハビビのビ!」は、ノリと “なんとなく” でわかってしまう、洋楽的な楽しみ方ができる楽曲なのだ。

もちろん、メジャーコードで構成される楽曲だったり、マイナー調の曲だったりと、楽曲はその音の雰囲気に合わせて、響きに合った言葉や意味を持たされる。が、しかし、「恋の魔法はハビビのビ!」はなんとなくの雰囲気ではなく、具体的に “ドキドキでラヴラヴでミラクルリンのリン”な楽曲というイメージまでもが明確に浮かんでくるように思える。歌詞カードも見ずにこの曲を聴いた時、歌っている言葉の意味には “?” が浮かびつつも、なぜかすんなりと聴くことができたのには、ヴォーカルにこのようなポイントが隠されていたからだ。

これを可能にしているのは、レコーディング時の的確なヴォーカル・ディレクションと、それを踏まえ、十分過ぎるほどの表現が行なえる月島きらり自身。本質がわかる音楽ファンならば「アイドルの曲なんて…」という先入観に縛られることなく(もっとも、そんな音楽ファンは先入観など持たないが)、この職人技ともいえる“仕事”を純粋に評価すべきである。