路上に放置されたスーパーの買い物かご。ウィーン市の世論調査では9割が不法ごみ追放を求めている
【ウィーン28日石井群也】ごみの不法投棄に悩まされている音楽の都・ウィーン市が、違反した市民から罰金を徴収し、警察に刑事告発する「ごみ監視人」制度を来春にも導入する。欧州随一といわれる美しい街並みを観光資源とするだけに、「不法ごみ追放」は緊急課題となっている。
市は毎日、百二十台のごみ収集車を出動させているが、半数が、指定場所以外に捨てられたり、廃棄が認められていない不法廃棄物の収集に当てられ、その費用は年間七百十万ユーロ(約十一億七千万円)に上る。
軒先やドナウ運河に電気製品や缶、ビンが捨てられ、街路は飼い犬のふんだらけ。スーパーの大型買い物かごを自宅まで押して帰り、そのまま放置された台数が年間三万台というありさまだ。
業を煮やした市議会与党の社会民主党は、不法ごみ対策を提案。千ユーロ(約十六万五千円)以下の罰金額を決め、三十六ユーロ(約五千九百円)までは直接徴収する権限を持つ「ごみ監視人」を市内各所に配置する。
悪質な者には違反切符を切り、警察に告発する。同党のごみ対策責任者は「三十人は配置したい。『欧州一きれいな街』という評判を守らなければ」と話している。
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