香川県高松市庵治町の大島にあるハンセン病療養所「大島青松園」で12日、歌手の沢知恵さん(36)がコンサートを開いた。入所者約30人のほか、全国各地から約170人のファンが詰め掛け、沢さんの透明感あふれる歌声を堪能。コンサート前には、子どもたちが園内を案内する「大島案内ひきうけ会社」も臨時開業し、来島者がハンセン病への理解を深めた。
コンサートは、沢さんが幼かったころ、牧師だった父親に連れられて大島に来たのを縁に、2001年から毎年開いている。コンサート以外にも同園を度々訪れ、入所者や3月末で休校となった島内の庵治第二小学校の児童らと交流。全国各地でハンセン病への理解を訴えている。
この日は、オリジナル曲や童謡など計17曲をピアノの弾き語りで披露。途中、同小の卒業生らが飛び入りでステージに上がり、校歌や「ふるさと」を合唱し、客席から大きな拍手を浴びた。
コンサート前には、同小の卒業生ら中学生5人が、コンサートを聴きに訪れた人たちをおもてなし。亡くなった入所者が風に乗って帰郷できるようにと願うモニュメント「風の舞」や納骨堂など園内の施設を案内して回った。
同小を今春卒業し、2カ月ぶりの案内となった牟礼中1年の丹生陽七海さん(12)は「久しぶりで緊張したけど、うまく案内できた。これからも機会があれば、できる限り続けたい」。沢さんは「子供たちのサポートが心強い。年に1度のコンサートを島を去ったみんなが集うイベントにしたい」と話した。